お客様のサイドボードを修復&ペイントしました
お客様よりお預かりしました、フレンチスタイルのサイドボードを修復しました。
幅が2200mmオーバーと、久しぶりの大型サイドボードの修復です。
40年ほど前に当時住まわれていたベルギーで購入されたそうです。
比較的新しいヨーロッパ本土で造られた家具は、無垢材が使われていない事が多いイメージですが、こちらも主要なパーツの殆どはパーチクルボードがベースに使われていました。
もちろん修理出来ない訳ではありませんが、表面の突き板をうっかり剥がすと、通常の修復では元に戻せない為、作業中はなにかと注意が必要です。
フランス系大型家具の多くは、移動や搬入搬出を考えて組み立て式になっている事が多く、かなり細かく分解出来る付造りになっています。
こちらのサイドボードもオリジナルはノックダウン(組み立て式)です。
このまま分解出来る状態で納品できた方が、なにかと都合が良いのですが、前述の通りベースがパーチクルボードなので、ジョイント部に使っているネジが効いていない箇所もあり、補強で温存が効くのか、もしくはフィックスに構造変更するかは解体後に全体の状況を見てから判断する、ということでお任せ頂きました。
オリジナルの塗装は水分に浸食されてしまっていて、温存しつつ綺麗に仕上げる事はまず不可能な状態でした。
木部にまで達した水染みの跡を完璧(に近い状態)に消す事は、塗装を総剥離しても難しく、またサンディングを追い込み過ぎて表面の突き板が剥がれてしまうと取り返しがつきません。
こちらとしてもコストに見合う仕上げが難しい状況でしたので、染色の仕上げはお薦めしにくく、ペンキによる木目を潰したペイント仕上げをご提案させて頂きました。
お薦めさせてもらったのはフランス系の家具にはオーソドックスではありますが、白か黒。
比較的ダメージの少ない天板の仕上げは、剥離してオリジナルに近いライトブラウンに染色というもの。
いろいろご検討頂いた結果、本体は極めて白に近いグレーで、天板は木目を活かした仕上げを採用して頂きました。
構造の修復方法は、ノックダウンを温存することに決定しました。
こちらの方が後の塗装の作業性や運搬を考えるとメリットがありそうでした。
これだけ大きくても分解してしまえば、ギリギリ1人で運べる重さです。
個人的な好みでもありますが、ペンキはスプレーの吹き付けより刷毛塗りの方が風合いが増すと思っているので、パーツ毎で仕上げられたた方が、段取りよく綺麗に上がります。
塗装前に各パーツごとに修復を済ませ、一旦仮組して扉や引き出しの調整。
後にもう一度分解してようやく塗装です。
全体をシーラーで下地を落ち着けた後に、調色したペンキを塗っていきます。
今回の様な微妙な色の場合、写真の見本帳を使います。
さらにシビアな調色が求められるケースでは、この見本帳の番手からメーカーに調色を発注することもあります。
塗装後にもう一度組み立てて、細部の機能と仕上げを確認し、またまた分解してお届けです。
何度も分解組み立てを繰り返したので、現場での作業は非常にスムーズでした。
白いペイントは汚れが付きやすく、塗装後から納品までは取り扱いに非常に気を使うのですが、この類いの仕上げは、汚れや欠けが良いアジになるので、遠慮なくガンガン使って頂きたいです!
Back to Page