ウェッジウッドの代名詞でもあるジャスパー・ウェアは美しい色合いと優美な古代紋様の装飾で知られるストーン・ウェア（炻器）です。
18世紀に発明されてから現在も世界中で愛され続けているシリーズですが、そのデザインのルーツは古代ローマ時代のカメオ彫刻にある事は御存知でしょうか。

 

カメオ彫刻とは、縞瑪瑙やオニキスなどの天然石や被せガラス（色の違うガラスを入れ子状に溶かし合わせて複数の層を持つガラスを作る技法）、タカラガイなどの表層を削り、（色味の異なる）内側の層を露出させながら彫刻を施す技法で、素材によっては製作に非常に高度な技術を要します。

世界的な陶磁器メーカー、ウェッジウッド社は18世紀にイギリス陶磁器の一大産地ストーク・オン・トレント市の陶芸家ジョサイア・ウェッジウッドによって設立されました。
科学者でもあったジョサイアは、陶芸窯の温度を測定するための高温測定器（パイロメーター）を発明し、それによって他に類を見ない独創的な陶磁器の開発に成功した、陶芸史に残るパイオニアの一人でもあります。

ジョサイアやその子孫（ジョサイア・ウェッジウッド２世、３世）の生きた時代はイギリス植民地帝国の絶頂期にあたり、植民地の拡大に伴って大陸からもたらされる数々の美術品、中でも古代の名匠による傑作の数々はイギリスの芸術家達に強烈なインスピレーションをもたらしました。

 

そんな中で生み出されたのが今回紹介している「ジャスパー・ウェア」。
ジャスパー（碧玉）の名の通り、なめらかな岩石に似た質感が特徴の焼き物で、1774年にジョサイア・ウェッジウッドによって長年の研究の末に創り出されました。

藤沢ウェアハウスではウェッジウッド社のジャスパー・ウェアのコレクションを展示販売しています。

製造年の古い品物から比較的最近のものまで幅広く取り揃え、たとえば写真右奥の白いフラワーベースは1878年に造られたアンティークのジャスパーウェア。手前の小さなフラワーベースはさらに古く、1860年以前のものと思われます。
手前のミニプレートやアッシュトレー（灰皿）は1950年〜70年代のヴィンテージ。
ご覧の通り、一見しただけでは違いが分かりません。

ウェッジウッド社のジャスパー・ウェアは18世紀から現代に至るまで長い時代にわたって造られ続けており、最初期のデザインが復刻される事もままあるので、製造年の特定にはバックスタンプ（刻印）の同定が必須。
中には判読が難しいものもあるため、年代特定はデリケートで手間の掛かる仕事です。

ジャスパー・ウェアのクリスマスイヤープレートも揃っています。

手前のクリスマスイヤーマグは1971年と1974年。
クリスマスイヤープレートは1975年、1976年、1977年、1978年、1983年、1985年、1986年、1987年、2002年。
贈り物やクリスマスプレゼントに、その年の記念品として生産された品々です。