From Factory
今回は家具のパーツの復元です。
買い付けの時に欠損を承知で仕入れているので、こういうケースでは腹を括って製作せざるをえません。
同じ様な内容のブログがここのところ多くなりがちですが、アンティークの修復では、実は普段から良くある仕事なわけです。
以前、クイーンアン様式の家具は、脚元のパーツが外れて無くなりやすい、という話はこちらで紹介しましたが、その比にならないのが、モールディング装飾です。
もちろん殆どのパーツは外れずに残っていて、欠損しているのは大抵小さいパーツです。
パーツが小さい故に接着面積も小さく、突起部分は何かにぶつかった時に衝撃を受けやすいので、外れてしまう事も多いのでしょう。
いろんな作り方がありますが、今回は短いパーツなので、愚直ですが角材からノミと彫刻刀で削り出す事にしました。
根本的な作り方が違うので、なかなかピッタリ同じという訳にはいきませんが、見本がある以上ある程度のクオリティまでは仕上げなければいけません。
角材にだいたいの断面図を描いて、やや大きめに削って行きます。
常に真っ直ぐノミを通すのがキモですが、木目があるので簡単にはいかないもんです。
ほどほどの形になったら、繋げるパーツに合わせた角度にカットして、合わせてみます。
誤差を修正して、長さをカットして、サンドペーパーで表面を整えて、接着となります。
当然、同じ木材を吟味して使いますが、この時点では同じ風合いが出せるか、毎度の事ながら不安です。
特にウォルナットは同じ色を演出するのが難しい材料です。
隣で別の職人が同じ様な仕事をしていました。
やはりモールディング。こちらの家具はあちこち作るパーツがあって、なおかつ堅いオークで作るので大変そうです。
意外かと思われるかも知れませんが、装飾が多く、良い(高価な)家具ほどパーツが無くなりやすい様な気がします。
塗装するとこんな感じです。
今回もまぁまぁ上手くいったようです。
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