From Factory
座面の生地を選ぶ際に、強度マストのお客様には必ずお薦めしているのがモケット生地です。
特殊な状況下以外で、過去に破けたモケット生地は見たことがありません。
中身のクッション材の方が先にヘタってしまうことが殆どです。
電車やバスなどのシートに使われているのも納得です。
手触り、強度と言うこと無しのモケット生地ですが、唯一の泣き所が、起毛にクセが付きやすいこと。
短期間でも座面に物を置こうものなら、クッキリ跡が付いてしまいます。
ヴィクトリアンのバルーンバックチェアです。
今回はこの椅子の生地をサルベージしようと思います。
ここまでガッツリ跡が付くとブラッシング程度では治らないので少々厄介です。
まず霧吹きで水を吹き付けて、
ブローガンで加熱して、乾かしなからブラッシングします。
大抵のモケットには木目のように「目」があるので(通常椅子の後ろから前)目に沿ってブラシを掛けます。
ブローガンとは強力なドライヤーの様な工具で、鉛くらいなら溶かしてしまう程の熱風を出すので、うっかり生地やクッション材を燃やさない様に注意します。
一般家庭ではドライヤーでも良いでしょう。
何回か繰り返すと、
なんとか解らない程度には回復しました。
張り替えてしまえばなんてことないんですけどね。
総じて椅子の張り生地は、国産よりもイギリス製の方がクオリティーが高いと言えます。
キヤアンティークスの椅子の張替工賃は、家具代金に含まれていますが、生地に致命傷が無く、クッション材も生きていれば、多少手間が掛かっても座面のレストアはクリーニングのみの方がいい場合も多いのです。
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