オークホールチェア修理依頼 後編
家具のパーツはとにもかくにも捨てずに保管しておいてください、というお話その2の後編です。
硬いオーク材に加えて、刃物の通りにくい木口(こぐち)面の彫刻だったので少々手こずっています。
彫刻と平行して、背もたれの差し込み穴も開けていきますが、当然ガイドも治具も無く、見本があるため角度はごまかしが利きません。まぁごまかすつもりもありませんが。
ドリルでガイド穴を開けて。
ノミで繋げていきます。
当然ガバガバは論外です。
仮組の状態で見本と並べてみました。
上手く行ったようです。
結果、角度を合わせる治具は作った方がよかったみたいです。
塗装前ですが、彫刻もほぼほぼそっくりです。
着色すると陰影が出るので彫刻がくっきり浮き出します。
仕上げ作業は、色味艶気を合わせるだけではなく、
全体の雰囲気に馴染ませるため、エイジングします。
着色後、適度に傷を付けて塗装を一旦削り飛ばし、また着色。この行程を必要回数繰り返すので、時間が掛かります。
仕上げはフレンチポリッシュで。
フレンチポリッシュは全体を組み上げてからの方が自然な仕上がりになります。
見本の1脚は通常の修理、仕上げ作業を施して。
2脚揃えて納品させて頂きました。
並べても遜色無いように仕上がりました。
再起不能を覚悟していたお客様には大変喜んで頂けたようで、職人冥利につきますね。
希少なヴィクトリアンのペアのホールチェアです。
大切に使って頂きたいです。
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