ウィンスタンレイ・キャット
こちらの置物は「ウィンスタンレイ・キャット」と呼ばれるスタジオ・ポタリー(※)。
イギリスの陶芸作家、ジェニー・ウィンスタンレイ氏の工房で作られていた陶器製の猫の置物の通称です。
ウィンスタンレイ氏は動物のフィギュリン(陶器人形)の制作を得意とする作家として知られ、猫のフィギュリンは彼女の代表作。
仕草を生き生きと表現し、世界中のファンに愛されています。
イギリスではドメスティック・アニマル(家畜やペットなど人間とともに暮らす生き物の事)をモチーフにした作品は時代を問わず人気が高く、絵画、置物、人形などなど数多の製品が著名な芸術家や銘窯、企業によって作られ続けています。
そんな中でこちらの「ウィンスタンレイ・キャット」はジェニー・ウィンスタンレイという、いち陶芸家が作るスタジオ・ポタリー(※)にもかかわらず作品自体が高い知名度を持つという意味において、風変わりなコレクタブル・アイテムです。
なぜそんなに人気なのか、と言われると特筆する理由は思いつかないのですが、やはり形容しがたい魅力があるからではないでしょうか。
一番の特徴は「キャセドラル・ガラス」と呼ばれる、古いステンドグラスを溶かして作られた瞳。不思議な事に、どこからでも目が合うようになっています。
これは眼窩(目にあたる部分の底部)に瞳を描き、その上にガラスを落とし込むことでホロウマスク錯視(「へこみ」と「ふくらみ」が反転して認識される錯視の一種)を作り出しているからなのだそうです。
いつまでも見つめていたくなる可愛らしさですね。
(※スタジオ・ポタリー…陶芸家や作家によって作られた陶磁器・焼き物のこと。
陶磁器生産の盛んなイギリスでは、企業や窯元・銘窯による大規模生産の陶磁器に対し、陶芸家・作家など個人によって作られる陶磁器のことを「スタジオ・ポタリー」と呼んで区別しています。
スタジオ・ポタリーの作家は作品に押す個別のサインやマークを持っており、腕のある作家ともなればそれらがスタジオ・ポタリー愛好家によってデータとして保管されます。実際、イギリスでは定期的にスタジオ・ポタリー作品の作者判別のためにマーク解読の解説書が出版されています。)
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