Facebook instagram
KIYA-CO.JP

BLOG

ブログ

アンティーク グロテスク様式 常夜灯/ヴェイユーズ | キヤアンティークス
Collectables

アンティーク グロテスク様式 常夜灯/ヴェイユーズ

フランスで19世紀~20世紀初頭に制作された、装飾豊かなヴェイユーズ。躍動的でおどろおどろしいデザインが秀逸です。
ヴェイユーズ(常夜灯)とは、豆電球などの光量の強くない光源を用いる常設の間接照明のことで、玄関や応接間に置いて夜間を通して点灯させて使用します。

本体は重量のあるブロンズ製。鈍い黄鉄色の本体は、ロストワックス鋳造で仕上げられた細やかな意匠が満載。
アニミズム(自然崇拝)を彷彿とさせつつ、ファンタジーの要素もあるこのスタイルは、グロテスク様式といわれる美術様式です。

見た目が衝撃的な物や、気持ちの悪い物を「グロい」と表現しますが、その語源がこの美術様式、「グロテスク」という言葉。
もともと「グロテスク」はキリスト教以前のローマ帝国時代に作られた美術品に触発され誕生した、ルネサンス期の美術様式の一種で、具象(人・動物・自然物など実際に存在するもの)を密に配した過度に豪奢な装飾模様や、写実を部分的に誇張し、強調することによって生み出された異様さに美を追究する絵画表現に用いられてきた言葉です。

葉薊(アカンサス)に取り巻かれている獣はグリーン・マンならぬ、グリーン・ビースト。その間から覗くのは、ギリシア神話に登場する半人半山羊の獣人 サテュロスの顔。

 

今日に至るまで様々な美術様式や音楽、文学に影響を与えている広範な概念で、そのエッセンスはモダン・アートやグラフィック・デザイン、現代のイラストレーションにも通じています。

要約するなら「過剰さが生み出す違和感」と、「違和感によって作り出される一種の魅力」を指す言葉、といって良いのでは無いでしょうか。


柘榴を中心に果実が実っています


香蒲の穂と、先端に反しがついた悪魔の尻尾


台座には何種類かの貝殻


睡蓮の花から生えるように 電球ソケットが配置されています

香蒲(がま)、石榴(ざくろ)、葉薊(はあざみ/アカンサス)、睡蓮(すいれん)などの植物意匠と、貝殻(帆立貝、巻貝、宝貝)が随所に散りばめられ、それらの端から溢れ出すように 異形の獣頭・精霊・悪魔など異教的モチーフが採用されています。

古典的なグロテスク様式の作品は静的で平面的ですが、こちらはその点で対照的です。
アールヌーボーのデザイン性が加わり、複雑怪奇はそのまま、本来のグロテスク文様に無い立体感と、瞬間を切り取ったかのような躍動感。
絡み合う植物意匠は、うねりながら伸張していく枝茎の成長を早回しで見ているかの様な印象を与え、“動的なグロテスク”とでも言うべき、洗練された立体造形が、見る者に対して 今まさに変形している最中で在るかのような錯覚をも感じさせますね。

15世紀以後のローマン・リバイバルに端を発するグロテスク様式と19世紀を通して発展したアールヌーボーの2つのスタイルが見事に混じり合い、洗練された一品です。

 

横浜店にて展示販売中。
オンラインショップでも掲載しています。

Shere
Tweet

Back to Page
アンティークについて・購入ガイド
KIYA ANTIQUES 会員様は1年中5%OFF PINE TABLE
Now Loading...