トイ・ソルジャー ~おもちゃの兵隊~
ピューター など錫ベースの柔らかい合金で出来た、19世紀から20世紀初頭のヨーロッパ各国の兵隊たち。
1940〜80年代にかけてイギリスで様々なメーカーによって造られたトイ・ソルジャー(おもちゃの兵隊)です。
20世紀中期以降のトイ・ソルジャーは大きく二つのパターンに分けられ、総合玩具メーカーから生産された品と、造型師自身によってデザインされ小規模に販売されていた品々があります。
いずれも彫刻家や造型師が手掛けた「原型」を用いている点は共通しているのですが、前者に比べると後者のほうが一層バリエーションが豊かで、作家性が垣間見えるデザインが多いのが特徴。
当社コレクションの一部を見てみましょう。
まずはオーソドックスなマーチング・ソルジャー。
19世紀後期のアメリカ海軍のライフル・マン。
ちなみにこの制服は19世紀から今日に至るまでアメリカ海軍の正装として、ほぼそのままのデザインで採用され続けています。
ロシアあるいはドイツ帝国の陸軍歩兵。第一次大戦まで盛んに用いられていた「ピッケルホーベ」といわれる棘付きヘルメットをかぶっています。
イタリア軍のベルサリエーリ。黒い制服と、ヨーロッパオオライチョウの羽飾りをあしらった軍帽が特徴。
採用されている制服の意匠は変化していますが、現存する部隊(兵科)です。(こちらの制服は19世紀末のデザイン)
1950年代~80年代にかけて「ローズ・ミニアチュール」のブランド名で、彫刻家ラッセル・ガマッジ氏がデザインしたトイ・ソルジャーほかフィギュア。
19世紀の兵隊は勿論、古代文明やファンタジーなど様々な題材でフィギュアを製作していました。
あらゆる時代、国籍の軍隊を正確に再現したトイ・ソルジャーを製作しているイギリスの老舗「トラディション・オブ・ロンドン」のフィギュア。
通称「トラディション」と呼ばれるこちらの会社、イギリスに本拠を置きヨーロッパ各国に店舗を持っており、現存する数少ないトイ・ソルジャーのブランドでもあります。
写真は1980年代の品物です。
1960年代に売り出されていたシリーズ「カメオ・パーソナリティー」。
第二次大戦時の政治家であるルーズヴェルト大統領とチャーチル首相、アドルフ・ヒトラー。
1970年代から80年代の短期に操業していた「サンダーソン・ミニアチュールズ」。
造型師クリフォード・サンダーソン氏による工房で仕上げられたコンセプチュアルなフィギュアの数々。
こういった↓際どいデザインも、企業ではなく造型作家が立ち上げたブランドならではのものです。
ちなみに、いずれのフィギュアも最初の購入者の手で絵付けがされています。
彩色仕上げ済みの品も販売されていましたが、無垢の状態の物を購入し、自分の好み(あるいはジオラマのコンセプト)に合わせて仕上げる、プラモデル制作同様の楽しみ方があるようです。
大人向けのコレクタブル・アイテムと云えますね。
キヤ・アンティークス オンラインショップほか、横浜店でも一部在庫を展示販売中。
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