座卓改造テーブル 後編
最近和室の無い家が増えているためか、代替わり等で不要になった座卓を下取る機会が多く、キヤアンティークスの座卓の在庫が近年増えてきています。
素材や造りはヨーロッパのアンティークを凌駕するポテンシャルを秘めているものの、いかんせん使い勝手が現代の日本では難しいため、いろいろ考えた末、久々に実験的に加工してみることにしました。
今回は第二弾、どちらかと言えばこちらが本命の実験です。
第一弾はこちら
前回よりグレードアップして、花梨の無垢材で造られた座卓です。
唐木の無垢材を使ったテーブルは、材料の希少性と頑強さゆえの細工の難しさから、もし新規で製作するとなると相当な費用が掛かります。
脚や幕板にも装飾が有り、これらを破棄する事は難しいですし、もったいないです。
前回の様に天板を乗せ変えて完成という訳にはいきませんので、今回は別手法を試みます。
まずは通常の修理。
座卓の素晴らしい彫刻を、付け足す脚のデザインに取り入れることは不可能なので早々に諦めて、定番の製作テーブルの脚を任意の長さで継ぎ足す事にしました。
せっかくなので材木にも拘りたい所ですが、今回は費用を抑えつつも見栄えよく仕上げたいと思います。豪華版はまた次の機会に…
脚を継ぎ足す以上、強度を担保するために脚元のストレッチは必須ですが、これも含めて寸法に少しでも狂いがあると、うまく合体できません。
長さはもちろん角度などの歪みも含めてバランスよく仕上げる精度が求められます。
継ぎ手は印籠継ぎ。旋盤とドリルで作れるので、ある程度の精度と強度が見込めます。
固定方法は、これもやはり実験ですが、座卓側の脚にナットを埋め込み、脚先から長いボルトを貫通させて固定する方法にしました。
敢えて接着しない事により、必要に応じて将来的に(比較的簡単な作業で)座卓に戻す事も可能です。
今回は、本体と継ぎ足す脚の仕上げを寄せた質感に仕上げてみました。
そもそも素材となる樹木が違うので、まったく同じ質感には成りませんが、色味と艶気に限っては遜色なく上がりました。
この辺りの仕事はいつも通りに勘と経験で。
塗装完了後、組付けて完成です。
座卓のデザイン構造は大きく分けて今回改造したような2つのタイプに分類出来ると言えます。
今後使う機会の無い座卓を持て余しているようでしたら、ライフスタイルに合った改造を施してはいかがでしょう。
写真を添えてご相談頂ければ、ご希望をお伺いした上でお見積もりさせて頂きます。
今回のテーブルは、それぞれ
前編:
縞黒檀(しまこくたん)座卓テーブル
+パイン材リフェクタリー脚(ペンキ仕上げ)
後編:
花梨(かりん)座卓テーブル
+パイン材リフェクタリー脚(同色染色 ラッカー仕上げ)
どちらも藤沢店で展示販売中です。
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